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REPORT

2026.10.07

SUMIREとRIKO UCHIKOSHIが歩く、国際アートフェア「Tokyo Gendai」

Photo / Kyouhei Yamamoto
Edit & Text / Eisuke Onda

2026年9月11日から13日の3日間、パシフィコ横浜で国際アートフェア「Tokyo Gendai」が開催された。国内外から約70のギャラリーが集結し、絵画、彫刻、写真、工芸からインスタレーションまで、ブースを巡りながら幅広い表現に出合えるアートの祭典だ。

ARToVILLAでは、俳優・モデル〈佐藤菫〉として活躍しながらアーティスト活動も行うSUMIREさんと、キャラクターアーティストのRIKO UCHIKOSHIさんに会場を巡ってもらった。二人の素直なリアクションとともに、「Tokyo Gendai」を歩く楽しさをお届けする。

国内外から約70のギャラリーが集結

〈TARO NASU〉のライアン・ガンダーの作品

ニューヨーク、ロンドンなどで展開する〈Upsilon Gallery〉の様子

〈Kaikai Kiki Gallery〉ではMr.の作品を大きく展示

今年で4回目を迎えた「Tokyo Gendai」。来年からは東京に移動し、11月5日(金)~7日(日)まで、東京・有明GYM-EXでの開催となるため、パシフィコ横浜での開催は今回が最後となる。日本をはじめ、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オセアニア、南米などから69のギャラリーが参加。大御所から若手まで、多様なメディアで表現するアーティストの作品が5つのセクターに分かれて集結した。 

中心となる「Galleries」では、国内外の有力ギャラリーが複数のアーティストをキュレーションして展示。ロンドンの〈Sadie Coles HQ〉のブースには、今年開催されたYBA展でも記憶に残っている人が多いだろうサラ・ルーカスと、海外でも高い評価を得る日本人作家・西村有の作品が並んだ。国内からは〈TARO NASU〉や〈KOTARO NUKAGA〉などもこのセクターに参加している。

〈Sadie Coles HQ〉のサラ・ルーカスの作品

若手から中堅まで、これからのシーンを担う作家に焦点を当てた「Hana 'Flower'」は、個展や少人数の作家による展示を中心に構成され、一人ひとりの作品をじっくり楽しめるセクターだ。日本の〈CON_〉からは山中雪乃の絵画が展示され、作品の前で足を止める来場者も多かった。海外からはオークランドの〈Lett Thomas〉などが参加した。

ほかにも、アジアで評価を確立した作家や美術史において重要な作家を紹介する「Eda 'Branch'」、写真や版画などプリント作品に焦点を当てた新設の「Miki 'Trunk'」など、それぞれに特色あるセクターが並ぶ。さらにデジタルメディアに特化した「Tane 'Seed'」も2年ぶりに復活した。

アピチャッポン・ウィーラセタクンを扱うタイの〈BANGKOK CITYCITY GALLERY〉の様子

そんな国内外の多様な表現に出会える「Tokyo Gendai」。少し前置きが長くなってしまったが、そろそろ会場を歩いてみよう。今回初めて訪れたSUMIREさんとRIKO UCHIKOSHIさんも、期待に胸を膨らませている様子。 

RIKO:わー、会場が広い。どこから回っていいのか分からない(笑)。アートフェアに来るのは初めてなので、敷居の高さを感じてドキドキしていたのですが、今日は楽しみです。 

SUMIRE:でも、作品を見て“ふむふむ”って感じかと思いきや、ちょっと違うね。とりあえず時計回りに進んでいきますか。それにしても広いですね。

アートの概念の幅が広がっていく

写真左から:俳優・モデル・アーティストのSUMIREさん、キャラクターアーティストのRIKO UCHIKOSHIさん

SUMIREさんとRIKOさんは幼馴染で、ともに表現者として活動している。昨年には合同展「うちら」を開催。普段から気になる展示があれば二人でギャラリーを訪れたり、旅先で美術館に足を運んだりすることもあるという。

SUMIRE:絵画だけじゃなくて、色々な作品もあるね。ブースの間には大きな彫刻や映像もあって、会場全体で楽しめるんですね。 

RIKO:ドラムセットもあるよ? これはこのあとパフォーマンスに使うのか。アートっていうと絵画のイメージが強いけど、私たちも意外と枠に当てはめていたんだなって考えさせられるね。 

SUMIRE:アートの概念が変わりそう。さっきの映像を見たときも、二人で「これもアートなんだ」って思ったし、「アートとは?」って改めて考えさせられる。若い人たちもここに来たら、アートってもっといろいろあっていいんだって気づけそうな気がします。

〈KOTARO NUKAGA〉のブースで松山智一の作品を鑑賞

Drummers Top Teamと現代アーティストを交えたライブパフォーマンスが行われた

共用部分にはMr.の大きな作品が

台湾の〈Project Fulfill Art Space〉の映像展示を見る二人

アーティストと会話しながら作品鑑賞

若手から中堅作家が集まるセクター「Hana 'Flower'」で足を止める二人。〈GALLERY MONMA〉で見つけたのは、美術家・佐藤壮馬さんが手がけた《Entangled Dimensions:縺れた次元》。樹脂で固められた食べかけのりんごをおそるおそる手に取る。

RIKO:これ、本物のりんごですか?

佐藤:はい。僕は札幌の、かつて遊郭があった場所に住んでいました。そこは遊郭になる前はりんご園で、今は住宅街。土地には、そうやって何層もの時間が縺れるように折り重なっています。手のなかのりんごも同じで、ひとつの意味には定まらない。禁断の果実を思い浮かべる人もいれば、ニュートンのりんごを思い出す人もいるかもしれません。まず自分なりの物語で手に取ってもらえたら、と思っています。それぞれの作品のタイトルは、その場所の記録に残っていた遊女のお名前を借りました。

SUMIRE:話を聞いてみると、作品の見え方が変わりますね。こんなに贅沢な経験ができるんだ。

〈AWASE gallery〉ではソー・ソウエンさんの個展が行われていた。様々なメディアで点描を用いて、人の輪郭や境界線を淡く描いた作品たち。展示の作品は実際に触れることにSUMIREさんは驚きの表情を見せた

「Hana 'Flower'」に出展する全アーティストを対象に審査を行うアワード「Hana Artist Award」ではソー・ソウエンさんが受賞した  ⒸTokyo Gendai

スペインのギャラリーにときめく

スペイン・マヨルカ島を拠点とする〈LA BIBI GALLERY〉のブースでは、RIKOさんがある作品を見つけて足を止め、色々な角度から作品を観察する。

RIKO:何これ!? やばい、めっちゃ可愛い! ダニエル・フェルストルさん。オーストリアの作家なんですね。

SUMIRE:全然、目の色が違う(笑)。りこはぬいぐるみ作家でもあるので、やっぱり素材感で気になったものにはすぐ反応するよね。

その後もしばし、ギャラリーのスタッフと作品について話し込むRIKOさん

RIKO:いやぁ、どストライクですね。やっぱりぬいぐるみっぽい生地を使っているところが気になるし、色合いもそうですし、ヴィンテージのキャラクターをモチーフにしている、そのスタイルも好きですね。大胆さもありながら、四角いキャンバスに収めているバランス感覚も素敵。一方で、ファティマ・デ・フアンもとても良かったです。

SUMIRE:次はマヨルカ島に旅行に行こうか(笑)。通訳の方がいて、英語が話せなくてもコミュニケーションを取れるのもいいですね。インスタで作品を見るのとはまた違って、実際に海外の作品と出合って、その場で話を聞ける。こういう機会があるのはすごくいいなと思います。

繊細な作品に息を呑む

一方、SUMIREさんは〈鎌倉画廊〉の手塚愛子さんの作品の前で足を止める。キャンバス同士をつなぐ繊細な糸を、しばらく動かずじっくりと見つめていた。

SUMIRE:細かいタッチだったり、少し暗さのある作品が好きなんです。〈鎌倉画廊〉で展示していた手塚愛子さんと川内理香子さん、どちらも自分的にはツボでした。さっき二人でも話していたんですけど、なんというか“大人の余裕のある遊び方”を感じるんですよね。キャンバスいっぱいに描くのではなく、余白があって、糸の使い方にも余裕がある。作品の見方もそうですし、自分が作る上でも「こういうやり方があるんだ」って考えを覆される。その発見が面白かったです。

すると作品を眺めていたRIKOさんが、ふと手塚さんとの意外なつながりを思い出した。

RIKO:そういえば私、ドイツに1年間いたときに、愛子さんのお誕生日会に参加させていただいたことがあって、お話したことがあるんですよ。本人もかっけえ女性でした(笑)。

SUMIRE:そんなことある? もしさっきご本人がいたらびっくりだね(笑)。

RIKO:ベルリンにはアーティストの方が結構いて、共通の友達を介してお誕生日会に行ったんです。その頃は赤い作品をたくさん作られていて、刺繍の糸がわーっと垂れているような作品が印象に残っています。

SUMIRE:あの感じで大きな作品だったら、かなりインパクトありそうだね。

川内理香子さんの作品

〈GALLERY SIDE 2〉の壁にひっそりと展示されたトビアス・レーベルガーの鳥の作品に注目する二人。「タイトルの《Looking at others is sometimes more simple than looking at yourself》(自分自身を見つめることよりも、他人を見ることの方が、時に単純なものです)が深いなと思いました」とSUMIREさん

それぞれに気になる作品を見つけながら、気づけば会場をぐるりと一周。最初はその広さに戸惑っていた二人も、作品を見たり、触れたり、ときには作家やギャラリーの人と話したりしながら、すっかりアートフェアを満喫した様子だ。 

RIKO:最初はアートフェアって聞いて、ちょっと敷居が高いのかなと思っていたんですけど、全然そんなことなかったですね。気になる作品があったら立ち止まって、話を聞いて。「これ好き!」っていうところから入っていいんだなと思いました。

SUMIRE:いろんな国の作品を一度に見られるし、作家さんやギャラリーの方から直接話を聞けるのも面白かった。自分が作品を作る上でも、「こういう見せ方があるんだ」とか「こういう素材の使い方もあるんだ」とか、発見がたくさんありました。 また行きたいです。

RIKO:楽しかったね。次は何か買いたいな(笑)。

SUMIRE Information

新刊絵本「ふくふくダンス」(著・SUMIRE)

2027年1月 303BOOKSより発売予定

ウェルビーイング・コミュニティ・メディア「Wellulu(ウェルル)」にて
初のエッセイ「SUMIREの日々を澄ませば」を連載中。

記事はこちら

RIKO UCHIKOSHI Information

「にゃあーとあんどかるちゃー」

■会期
2026年10月16日(金)~11月3日(火・祝)

■場所
吉祥寺PARCO
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-5-1

DOORS

SUMIRE / 佐藤菫

俳優・モデル・アーティスト

1995年生まれ。東京都出身。俳優、モデル、アーティスト。 2014年から『装苑』専属モデルを務める。 18年に映画「サラバ静寂」で俳優としての活動をスタート。その後映画、ドラマ、広告など幅広く活躍。主な出演作は、「リバーズ・エッジ」(2018)「ボクたちはみんな大人になれなかった」(2021)、TBSドラマ「階段下のゴッホ」(主演)(2022)、「インフォーマ -闇を生きる獣たち-」(2024)などに出演。 アーティストとしては23年に初の個展「たまごがゆめをみていた」を開催。 またデビュー作となる作家長田真作さんとのコラボレーション絵本「ほろほろもみじ」が昨年発売されるなどアーティストとしても幅広く活動している。

DOORS

RIKO UCHIKOSHI

キャラクターアーティスト

1995年、東京生まれ。都立総合芸術高校油画学科卒業、多摩美術大学 演劇舞踏学科中退。高校在学中に1年間の世界一周の旅を経験。大学在学中、映画を中心に役者として活動する。2019年からドイツ、ベルリンに1年間暮らし、ぬいぐるみの制作を始める。現在はアニメーションやまんが、インスタレーションなどキャラクターとその物語や世界を表現したり、半立体のミクストメディアの作品や電子工作など幅広く表現を広げ、展示やイベント出展などで作品を発表している。2025年に幼なじみのSUMIREとの合同展「うちら」を開催。

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