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2023.06.02
現代アーティスト ヤクモタロウ 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.17
独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動する、とに〜さんが、作家のアイデンティティに15問の質問で迫るシリーズ。今回は、現代のノスタルジーを独自の手法でポップな世界観で表現する現代アーティスト、ヤクモタロウさんの背景に迫ります。
美術家 斉藤幹男 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.16 はこちら!
今回の作家:ヤクモタロウ
東京都生まれ。 現代社会を象徴するモチーフを落とし込み、瞬間的な今の要素をキャンバス上でポップな世界へと表現する作家。幼少期から現代アートに触れ、油絵などの美術教育を受ける。幼少期に出会ったビートルズをきっかけに音楽活動に没頭するが、2000年初頭から海外のアートオークションやアートフェアの現場に通い始め、自由で大胆かつ迫力がある現代アートという世界に没頭していく。海外のアートの現場に足繁く通い、長年かけて着実に現代アートの現場そして表現の理解を構築し、美術業界の革命の渦中に飲み込まれていくことで、作家としての活動を本格的にはじめることを決意する。
《Floppy (SWAG) 》Acrylic on Canvas , 41.0 cm x 41.0 cm
ヤクモタロウさんに質問です。(とに〜)
音楽活動、からのギャラリスト、からの現代アーティスト。そんな異色の経歴を持つヤクモタロウさん(しかも、現代アーティストへと転身したのは40歳!)。ここ近年は、フロッピーディスクをモチーフにした作品を発表しています。その描かれたフロッピーディスクのメモ欄には、ファミコンの画面が再現されていたり、無数のハッシュタグで埋め尽くされていたり。古いようで新しく、新しいようで懐かしい。ありそうでなかった異色の作品を次々と生み出しています。
そんな今注目のヤクモタロウさんとは一体どんな人物なのか?15の質問で迫ってみました。アートファンはもちろん、今セカンドキャリアを考えている方も是非ご一読くださいませ。
Q.01 作家を目指したきっかけは?
子供の頃から絵画教室に通っていましたし、両親もアート関係の仕事をしていたので、作家になるということは自分にとっては身近なことでした。元々バンド活動も長くやっていて、何か表現したり自分の考えを伝えたいなと常に思いながら生きて来たので。色々あって小さなギャラリーを運営していたのですが、金銭面やら運営やらどうにも立ち行かなくなってしまって、アートから離れようとも思ったのですが、自分の原点にかえる、一生続けていけるということもあって、作家としてアートに関わっていこうと覚悟しました。
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-2.jpg)
Q.02 アーティスト名がカタカナ表記なのはなぜですか?
グループ展などの時、複数名アーティストがいるとき、埋もれないためです。
Q.03 アーティストに転向してよかったと思うのはどんな時ですか?
生きる希望が少し増えました(笑)
Q.04 フロッピーディスクをモチーフにした作品を描く上でもっともこだわっている部分を教えてください。
フロッピーのカタを再現する部分です。
上の部分の凹んだ部分には色を入れず、キャンバス地をそのまま見せることで凹凸を表現しています。
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-3.jpg)
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-4.jpg)
フロッピーディスクのメモ欄に描いているファミコンのバグ画面を再現してくれました
Q.05 フロッピーディスクにまつわるエピソードがあれば教えてください。
作品証明書として実際のフロッピーを付けていて、そのためにメルカリで買い集めてるんですけど、たまに開くとデータが残ってるのがあって、おそらく文書ファイルなんですけど、ファイル名に個人名が入ってたりしてるときがあります。
怖いんですぐ消しますけど(笑)
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-5.jpg)
作品証明書のフロッピーディスク
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-6.jpg)
Q.06 作品の厚みに、こだわりはありますか?
あるにはありますが、そのこだわりもどこまで必要なのかなと自問自答してます。
ただ、アメリカに行くと普通に厚みがあるキャンバスが主流なんで、日本は画材後進国だと思います。それに対する訴えでもあります。僕が見て来たアメリカン現代アートのフォーマットが厚キャンバスだったんで。
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-7.jpg)
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-8.jpg)
Q.07 もっとも影響を受けた芸術家は誰ですか?(物故作家を含む)
岡本太郎です。
もう1人あげるとしたら草間彌生。
Q.08 制作中に視聴しているものはありますか?(あれば、具体的に教えてください)
ほぼほぼラジオ聴いてます。ラジコかyoutubeで。
高田文夫のビバリー昼ズ
えんがわ(旧金曜たまむすび)
ラジオショー(中川家、ナイツ、サンドウィッチマン)
おかしば
火曜ジャンク(爆笑問題)
日曜サンデー
神田伯山の問わず語り
ハライチのターン
FEN
キャンバスを張ったりする時は音楽を聴くことが多いです。
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-9.jpg)
Q.09 職業病だなぁと思うことは?
美術館とか、人の展示とかで作品が少し傾いてたりすると気になって直したくなっちゃいます(笑)
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-10.jpg)
Q.10 青春時代、一番影響を受けたものは何ですか?
僕が中学時代からバンドブームだったんで、そこからロックにハマってたんでやっぱり音楽ですね。
特にビートルズや70年代のロックバンドには影響受けました。
Q.11 アトリエの一番のこだわり or 自慢の作業道具など
こだわりは特にないです。
逆に今は狭いので、広いところに動きたいと思ってます(笑)
自作のグラグラ揺れる作品置きの棚は気に入ってますが(笑)
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-11.jpg)
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-12.jpg)
Q.12 自分を色に例えると何色ですか?その理由は?
紫です。変人なんで(笑)
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-13.jpg)
Q.13 韓国や台湾にお詳しいと伺いました。今注目すべきアジアのアートスポットを教えてください。
やはり香港ではないでしょうか。
3月に行きましたが、結局香港がアジア最強だなと思いました。
M+ミュージアムは必見です。ミュージアム内の寿司バー「きよ友」がとても良いです。
Q.14 出演してみたいテレビ・ラジオ番組はありますか?
テレビはなんでも出たいです。
テレビチャンピオンみたいなのもアーティストとして出たかったです。
密着系のドキュメンタリーも出てみたいです。
ラジオは出たいより自分の番組を持ちたい(笑)
![](/assets/artist-identity-17_taro-yakumo-14.jpg)
Q.15 もしも作家になってなかったら、今何になっていたと思いますか?
何者でもないと思います。
日本ではない海外でのんびり暮らしているか、どこかでホームレスになってたかもしれないですね(笑)
実際のフロッピーディスクと同様に、外見だけでは、中のデータ(情報)はわからないものですよね。作品の厚みに込められた想いや、作品の証明書もフロッピーディスクにしていることなど、いろいろな秘密が窺い知れて興味深かったです。とりわけ知れて良かったのが、フロッピーディスクの型の再現のこだわり。今までまったく意識したことがなかったのですが、上部は意外と複雑な形をしていたのですね。今後、ヤクモさんの作品の実物を観る際には、特に上部に注目してみます。あと、紫色のフロッピーディスク作品を目にしたら、ヤクモさん自身が投影されているのだろうとかと思ってしまいそうです。
ちなみに、TBSラジオの『たまむすび』に引き続き、後番組の『こねくと』にも月1で出演していますので、もし良かったら作業中にお聴き頂けましたら幸いです(笑)
ARTIST
![](/assets/taro-yakumo-d.jpg)
ヤクモタロウ
現代アーティスト
東京都生まれ。 現代社会を象徴するモチーフを落とし込み、瞬間的な今の要素をキャンバス上でポップな世界へと表現する作家。幼少期から現代アートに触れ、油絵などの美術教育を受ける。幼少期に出会ったビートルズをきっかけに音楽活動に没頭するが、2000年初頭から海外のアートオークションやアートフェアの現場に通い始め、自由で大胆かつ迫力がある現代アートという世界に没頭していく。海外のアートの現場に足繁く通い、長年かけて着実に現代アートの現場そして表現の理解を構築し、美術業界の革命の渦中に飲み込まれていくことで、作家としての活動を本格的にはじめることを決意する。 Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/@artshowjp
DOORS
![](/assets/toni~.jpg)
アートテラー・とに~
アートテラー
1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。 芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。 美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。 アートブログ https://ameblo.jp/artony/ 《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『こども国宝びっくりずかん』(小学館)
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