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2022.09.22

作家 高村総二郎 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.5

Photo / Gyo Terauchi

独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動する、とに〜さんが、作家のアイデンティティに15問の質問で迫るシリーズ。今回は、半世紀後にやってきたアンディ・ウォーホルとも呼ばれる高村総二郎さん。「日本と西洋」「立体と平面」「過去と現在」など、相反するものを1つの作品に落とし込むことで、現代のポップアートのあり方を表現し続ける高村さんの背景に迫ります。

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作家 木原千春 編 / 連載「作家のアイデンティティ」Vol.4

  • #アートテラー・とに〜 #連載

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高村総二郎さんに質問です。(とに〜)

カップヌードルや金鳥のパッケージを描いたり、自分が住んでいた四畳半の畳を描いたり(経年劣化込みで!)、はたまた、ギリシャ・ローマの石膏像に日本の浮世絵をプロジェクターで投影したその像を描いたり。
他の日本画家ならば選ばないであろう、いや、思いつかないであろうモチーフを描き続ける高村総二郎さん。しかも、決してアイディア勝負というわけではなく、日本画としての作品の完成度の高さもズバ抜けています。そんな高村さんに聞いてみたいことはたくさんあって、次から次へと質問が湧いて出ました。
15の質問は、ちょうど3分で完成しました。

 

Q.01 作家を目指したきっかけは?
会社勤めが出来ない性格なので自然と絵描きの道を選びました。

 

Q.02 アトリエの一番のこだわりは? 
いろいろな種類の絵の具です。

 

Q.03 カップヌードルの作品を初めて発表した時の周囲の反応はどうでしたか?
「なるほど〜〜〜」が半分と「バカっぽ〜〜〜い」が半分でした。

 

Q.04 描かれているカップヌードルの蓋が少し開いているのには理由はありますか?
以前のカップヌードルは底にフタを押さえるシールが付いていて、それを貼らず、何も乗せずにフタを折り曲げて押さえると3分経たずにそれが起き上がってしまうのです。その状態を描いてます。

昨年、カップヌードルの蓋が猫耳になりましたよね。今後は高村さんの描くカップヌードルの蓋も変わるのでしょうか。(とに〜)

 

Q.05 制作していて気付いたカップヌードルや金鳥のパッケージデザインの「ここがスゴイ!」というところがあれば教えてください。
カップヌードルは約50年、金鳥の渦巻は約100年パッケージのデザインがほぼ変わっていません。それらの素晴らしい製品と共に飽きの来ないデザインにスゴさがあります。

 

Q.06 自慢の作業道具を教えてください。
筆や刷毛も使いますがほとんどの作業は染色用の刷り込み刷毛を使っています。

 

Q.07 日本画の画材の一番の魅力って何ですか?
絵の具に関してはリサイクルが利く事です。絵の具が固まっても湯で溶いて膠分を捨てればずっと使い続けることができます。老舗の鰻屋のタレのようなものです。和紙や絹は作品を永く保存することに適しています。

 

Q.08 日本画で描くのに合っているモチーフとそうでもないモチーフはありますか?あるとしたら、その違いは何ですか?
モチーフでは特にありませんが、自分にとっては大量生産には向いていないと考えています。日本画材をうまく扱えないので作業効率が低く綺麗に仕上りません。
高価でもありますし、勝負画材と考えています。

ウォーホルの作品と対比されることが多い高村さんの作品。当然ですが、作業量は雲泥の差がありますよね。(とに〜)

 

Q.09 職業病だなぁと思うことは?
カップヌードルや金鳥の渦巻は「令和のヒーロー看板」という考えで制作しています。そのためにコンビニやドラッグストアに行くと、次の作品のための商品を探してしまいます。

次に何のパッケージを描くのか、とっても気になるところです。個人的にはCHELSEAのパッケージが、七宝焼っぽくて素敵だなと思っています。(とに〜)

 

Q.010 制作中によく視聴しているものは何ですか?
ポピュラーソング、映画のサントラとジャズのCDを聴いています。今だにCDなのはその音のビジュアル面も重要と考えているからです。

 

Q.11 今のプロフィール写真になったいきさつは?
以前扱ってくださっていた画商さんがお笑い好きの方でした。「高村さん、お笑いも日本画も同じ芸事、ツカミが大事です。フジタでツカミましょう!」とおっしゃってくださり、それ以来それに従っています。

 

Q.12 ファンクラブがあるとお伺いしましたが、ファンクラブに入るとどんな特典がありますか?
Q.11の画商さんがお金をかけずに「日本画家のアイドル」を育てようと考えてくださいました。その一環としてファンクラブを作ったのです。芸能人がやっている事をマネて、展覧会の情報SNSにアップしたり、サインやいらなくなった作品をプレゼントしていました。その画商さんに扱われなくなったのでファンクラブはストップしています。続いていたら歌って踊れる日本画家になっていた事でしょう。

それはそれで見てみたいような気がしますが、そうならなくて良かったです(笑)(とに〜)

 

Q.13 作家人生の中で一番テンションが上がったことは何ですか?
初めて絵が売れた事です。

 

Q.14 青春時代、一番影響を受けたものは何ですか?
ブルース・リーです。今でも彼の映画を観た後は弱小なのに戦いたくなります。

 

Q.15 もしも作家になってなかったら、今何になっていたと思いますか?
お笑い芸人のボケ担当です。展覧会で作品にツッコミを入れてくれる人が多いのできっとそれになっています。

もちろん存じておりましたが、日本画の画材に対する回答やアトリエの様子を拝見して、改めて高村さんが日本画家であることを実感しました。くわえて、日本画の可能性を広げようと、常に新たなモチーフを探すだけでなく、アイドルになったり、キャッチーなプロフィール写真にしたり、新しい日本画家像を自ら作り上げる姿勢にも感銘を受けました。
ただ、もうすでにご指摘を受けた経験もあるでしょうが、フジタ(=藤田嗣治)は日本画家ではなく、洋画家ですよね(笑)。さすがボケ担当ですね。お笑い芸人時代の僕はツッコミ担当でしたので、もし良かったら一度コンビを組みましょう!(とに〜)

 

information

■展覧会名
SIGNS OF A NEW CULTURE Vol.11

■会期
2023年2月9日(木)〜2月21日(火)
※最終日は18時閉場

■会場
Artglorieux GALLERY OF TOKYO
東京都中央区銀座六丁目10番1号 GINZA SIX 5F
Google Map

■入場料
無料

詳しくはこちら


■アートフェア情報
アートアジア福岡2022
Artglorieux×高村総二郎

■会期
9月30日(金)~10月2日(日)
※アートフェアアジア福岡 2022「福岡国際会議場」は10月3日(月)まで

■会場
ホテルオークラ福岡 906号室

art-fair-asia-fukuoka2022-MV

作家のアイデンティティ_バナー

ARTIST

高村総二郎

1965年 大阪府生まれ。「刺青」「四畳半」「纏」「肖像画(政治家)」など、様々なシリーズを発表しているが「カップヌードル」は彼の代表的なシリーズ。ウォーホルが大量消費の象徴としてキャンベルスープを描いたのなら、日本人である自分は「カップヌードル」を描こう!ということで、カップヌードルの作品を描き始めた。しかしウォーホルと決定的に異なる点は、高村の作品はシルクスクリーンの大量生産では無く、正確かつ丁寧に描き出した1点ものだということだ。

DOORS

アートテラー・とに~

アートテラー

1983年生まれ。元吉本興業のお笑い芸人。 芸人活動の傍ら趣味で書き続けていたアートブログが人気となり、現在は、独自の切り口で美術の世界をわかりやすく、かつ楽しく紹介する「アートテラー」として活動。 美術館での公式トークイベントでのガイドや美術講座の講師、アートツアーの企画運営をはじめ、雑誌連載、ラジオやテレビへの出演など、幅広く活動中。 アートブログ https://ameblo.jp/artony/ 《主な著書》 『ようこそ!西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社) 『名画たちのホンネ』(三笠書房) 

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